ユーロに関しては、一応落ち着きを見せてきましたが、ドルに関しては、3ヶ月以上、1ドル70円台の円高にもかかわらず、為替介入に踏み切れていません。

安住財務相は「行き過ぎた水準になれば、断固した措置を取る」と言い続けていますが、とうの昔に行き過ぎた水準は超えてます。

で、そんなことは財務相、財務省もわかっている話なんですが、為替介入できない理由をちょっと考えてみました。

1つめは、ギリシアを中心とした欧州の債務危機、アメリカの景気後退、失業率の高止まりといったファンメンタルな要因が解決しない限り、円介入しても、結局円高になってしまうこと。
よく株式は美人コンテストだと言われますが、今の為替市場は、不細工コンテスト(失礼)のような状況で、世界中、みんな不細工なんですが、円は将来とんでもない不細工になることはわかっているが、今はまだマシなので、買われている状況だと思います。ちなみに、ドル安と思われがちですが、確か直近6ヶ月でドルに対して上昇している通過は、円と元だけで、ユーロ、オーストラリアドル、ポンド、スイスフランもドルに対して弱くなっていたと思います。

2つめは、そういう状態なので、日本以外、誰も円高を是正しようなんて思っていないため、協調介入は望めず日本単独での介入しかできないが、過去に単独介入が実効をあげた例はないこと。

3つめは、11月上旬にECB(欧州中央銀行)が利下げをしたり、アメリカがQE3(量的緩和)に踏み切る可能性があるため、今、介入しても、そういった政策によっていっきに円高に向かう可能性があること。

4つめは、ファンドが円介入を待ち望んでいる可能性があること。8月4日に介入した際も、79円程度まで円安に向かったのちに、円買いに周り、あっという間に、もとの水準に戻してしまいました。

ということで、75円台の史上最大の円高水準が続いていますが、少なくとも11月3-4日のG20までは介入できないような気がしますが、その後に、介入するというのも予定調和感が丸出しで、どうにもならない気もするので、意外性を感じさせるために、その前に介入する…ってことはやっぱりないですね。

UPDATE:2011年10月31日にあっさり介入し79.5付近まで円安にしましたが、結局、その日のうちに77円台まで押し戻されました。

ところで、国家戦略会議で民間議員の岩田日本経済研究センター理事長が、50兆円規模の外債購入を目的とした基金をつくり、欧州国債を買うことで、世界市場を安定させるとともに円安の方向に向かわせるという案をだされたそうです。

まず、「早急なアクションが求められる」とか「協調介入を求める努力を続ける必要がある」といった類のセリフで締めくくる円高対策の意見(ですらないですよね)に比べ、具体的なアイデアをだされたことは意味があると思いますし、なんとなく良さそうな気がしますが、今、問題になっている国の国債って、どうしようもないほど傷んでいるから問題になってるんですよね。だから、そんな国の国債を大量に持っている欧州の銀行の資本増強とか言われてるんですよね。で、さらに言うと、そんなダメ国債を持っていないから、日本の金融システムはまだマシな状況だから円高になってるんですよね。

ギリシアの状況(国が倒れそうなのに、ストライキを繰り返し、国の財政健全化より個人の生活を優先している)を見ると、国債を買っても、結局はこげつくんじゃないかと思うんです。

ということで、ちょっと厳しいかなと思いました。



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