kony2012

KONY2012とは

KONY2012とは、ウガンダの反政府組織LRA(THE LORD’S RESISTANCE ARMY)のリーダであるヨセフ・コニー(JOSEPH KONY)を2012年中にICC(国際刑事裁判所)に引渡し法廷で裁くことを目的とした社会運動キャンペーンである。KONY2012を展開しているのは、アメリカのNPO団体”Invisible Children“で、この問題に9年前から取り組んでいる。

ヨセフ・コニーは、1987年から26年間ウガンダ反政府組織LRAを率いて、少年少女を誘拐し、少年は兵士に、少女はLRA幹部の性的奴隷としている。さらに、少年に銃を与え自分の親を殺害すること強要している。LRAは誘拐した少年兵士を使い、市民をレイプし殺戮を繰り返している。26年間の間にLRAが誘拐した子供は3万人超えている。また、現在のLRAは発祥拠点であるウガンダ北部から、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、スーダン共和国へと活動拠点を移している。

このことから、Invisible Childrenがヨセフ・コニーを”世界最悪の戦争犯罪者”と呼んでおり、一刻も早く活動を止めさせなければいけないと訴えていることは理解できる。

ヨセフ・コニーをICCに引き渡すためには、1.ヨセフ・コニーが戦争犯罪者であることを世界に広め、目撃情報を広く募ることによって逃亡中であるコニーの居場所を突き止めること、2.コニー捜索に対するアメリカ軍の支援を継続させるという2点が必要である。

そこで、KONY2012ではビデオ作品”KONY 2012“を作成し、バイラルで広めることを始めた。
この試みは、今のところ大きな成功を納めており5月までに50万回という視聴目標だったが、たった1週間で1,600万回視聴され目標を大きく上回っている。これは、Vimeoのみの数字なので、YouTubeなどを加えるともっと多く視聴されていると思われる。

また、ボランティアにより日本語字幕版も2012年3月8日に公開されており、前編が13,890回、後編が5,163回再生されている(2012年3月11日時点)。

*(注意) 以下のビデオには一部ショッキングな映像が含まれています。
KONY2012 日本語字幕(前編)

KONY2012 日本語字幕(後編)

ビデオを見れば分かるように、KONY2012ではFacebook、Twitter、YouTubeと言ったソーシャル・メディアを手段として最大限活用している。

KONY2012の活動

KONY2012の主な活動は、すでに述べたようにKONY2012の動画を視聴、共有してもらうことでLRAおよびヨセフ・コニーの犯罪を広く世の中に知らしめることであるが、さらにセレブの力を利用しているところが興味深い点である。

KONY2012の”2012″は当然2012年の意味であるが、20人のセレブと12人の政治家の意味でもあり、人々の関心を集めるためには、セレブの力が必要であり、多くの人々が関心を持てば、大統領選挙の関係で政治家も動くという戦略のようである。

実際、KONY2012ビデオが急速に拡散した理由は、ジャスティン・ビーバー、オプラ・ウィンフリー(アメリカで人気のトーク番組司会者)などのセレブがツイッターで視聴を呼びかけたことが要因であった。(ハッシュタグは#KONY2012

KONY2012のウェブサイトからは、セレブ、政治家にツイッターを通じてメッセージを送ることができる。

KONY2012-セレブ

また、4月20日には街中にKONY2012のポスターなどを掲示し、広く社会に問題を告知するイベントも計画されている。これは、ソーシャル上の参加が実際の行動にどのくらい結びつくかという点からも注目されている。

KONY2012を紹介するにあたって

正直に言うと、私は昨日までKONY2012についてもウガンダの状況についても知らなかった。KONY2012について知った経緯も国際政治ニュースというよりは、ソーシャル・メディアを活用した社会運動のニュースという側面から、情報が伝わってきた。

私のKONY2012に関する情報は公式サイト、動画の他には以下のウェブサイトから得たものである。ワシントン・ポストは記事でKONY2012は問題を単純化しすぎているとの指摘しているし、社会運動の善悪の判断は難しいことも理解している。

また、こうした活動は、開始当初は喝采を浴びるが、やがて様々な問題が露呈するケースも少なくなく、KONY2012も今後、どのような評価を受けるかは不明である。

さらに、本キャンペーンのターゲットはコニー逮捕のための目撃情報を得るために中央アフリカの人々、アメリカ政府および有力政治家を動かすためにアメリカ市民であることも理解しており、日本でコニーを発見する可能性はかなり低いと思われるため、日本で告知することにどれほどの効果があるのかも不明である。

それでも、コニーは逃走中であり、LRAはコンガなどで同様の犯罪を犯し続けている。ニューヨークタイムズはLRAによって6人の若い従兄弟が誘拐され、17人の親族が殺害された女性にKONY2012キャンペーンについてどう思うかを尋ね、彼女はこう答えている。”コニーは怪物です。アメリカが本気になれば、彼を確保できるでしょう。それは(アメリカ政府の)意思の問題です。そして、今回は本気であることを望んでいます”

日本人にできることが限定されているとしても、なにもしないよりは良いとも思うし、この活動から”ソーシャルで世界を変える”という意味や、アプローチを学ぶことができればとの想いから紹介させていただく。

(参考にした記事)

Invisible Children’s ‘Kony 2012’ video goes viral — but what does this mean?
(Washington Post)
Kony’s Victims and the Kony 2012 Video(The New York Times)
Documentarians: KONY 2012 Achieved Its Goal(Mashable)
痛ましい過去を負う残虐コニーの子供たち(ニューズウィーク日本語版)



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