2017年1月1日からフランスで、労使間での話し合いの上で勤務時間外のeメールなどの連絡に対応しなくてもいいという法律が施行され、アメリカでも話題になっています。一方、なぜか日本ではそれほど報道されていないようなので、アメリカの報道を元に簡単にご紹介させていただきます。

*私の理解が間違っている可能性もありますので、参考にした記事を掲載しておりますのでそちらも参考にしてください。

法律は通称「Right to disconnect(遮断する権利)」と呼ばれるもので50名以上の従業員がいる企業は、労使間で話し合いの上、標準的な勤務時間外にきたメールなどを通じた業務連絡に対応しなくても良い自由を与えるというものです。

なお、日本でも以前にこの法案が検討されている時に少し報道されていましたが、その時は「勤務時間外のメールを禁止」というような表現もありました。実際はメールに限定しているものではないため、チャットなども対象になる可能性があるようです。

該当する企業はそのルールを憲章(チャーター)という形で明文化しなければいけません。

フランスの労働大臣Myriam el Khomri氏は「従業員はますますオフィスの外でも連絡が取れるようになっており、仕事と個人の生活の境界線が曖昧になってきている」と述べており、今回の法律でワークライフ・バランスの維持、向上を狙っていると思われます。

もともとフォルクスワーゲンのように夜間はメールサーバーを停止する企業もあったようですが、今回の法律によって多くの企業がワークライフ・バランスを実現する方法について真剣に検討するようになることが期待されています。

(参考記事)

France ‘Right to Disconnect’ Law: Do We Need Rules To Reclaim Personal Time? – NBC News

Should American Workers Have the Right to Disconnect? | Inc.com

France’s ‘right to disconnect’ is a nice idea, but it’s also pretty vague – The Verge

ただ、もともとフランスでは週35時間労働という規制があるため、今回の法律は経営者側にとってはより難しい課題を突きつけるという側面があるようです。

なお、フランスだけでなくヨーロッパ各国は日本にはないような規制があるようでドイツでは休暇中の部下に上司が連絡を取ることは許されなそうです。

フランスの労働大臣が言うようにスマホなどによって世界は24時間つながるようになっている中、フランスだけ一定時間ビジネスを止めると言うことになれば国際競争力がなくなると懸念する経営者もいます。あるスタートアップの経営者は「憲章は書くけど形だけになるだろう」「憲章はワークライフバランスの重要性を説き管理職は夜にミーティングを開催したり電話しないことを明記する」と言っています。

別の経営者は「この法律を作った人はビジネスをわかっていない」と言います。

従業員側にも「仕事の量が変わるわけではないから、早く連絡をもらえれば、空き時間を使って家である程度片付けたい」という意見もあるようです。

法律は一律で規制をかけるというものではなく企業ごとに労使で話し合いを行いルールを明文化するというもののようですので、出来上がったルール(憲章)はかなり幅が出てくることが予想されます。

多くの人の意見のように勤務時間外は一切の業務連絡ができなくなるというのは現実的ではないかもしれませんが、一方でスマートフォンを24時間身につけ終日連絡が可能な時代になっている中で、今回の法律のよってフランスの働き方がどのように変わるのか(変わらないのか)は日本にとっても注目すべきだと思います。

あなたは勤務時間外のメールを禁止して欲しいですか?それとも早く連絡して欲しいですか?



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