FacebookがIPOへ ウォール・ストリート・ジャーナルが報じる
ウォール・ストリート・ジャーナル(Facebook Readies IPO Filing for As Soon As Next Week)は、FacebookがIPO申請をすすめており、近々提出するのではと報じました。
もしIPOが実現すれば調達額は100億ドル(約7,700億円)となり、Googleの19億ドル(約1,463億円)の5倍以上の規模となります。ちなみにハイテク関連株では、2000年のドイツの企業Infineonが調達した59億ドル(約4,543億円)が史上最高額です。
Facebookは上場すれば、この記録を抜き株式市場最高のIPOとなると予想されています。また、予想通りになれば、Facebookの株式時価総額は1,000億ドル(約7兆7,000億円)になります。
IPOを裏付けるように、Facebookは昨年の秋のf8以降、新サービスの提供を精力的に行なっており、今週タイムラインへの前面以降を行い、連携するアプリを60追加しました。このことにより、より多くの情報がユーザーに提供されるようになります。また、広告の強化も行なっており、ニュースフィード(ウォール)への広告表示、スマートフォン用Facebookアプリでの広告表示を進めています。
ウォール・ストリートによると主幹事はモルガン・スタンレーで、ゴールドマン・サックスとともにIPOを引き受けるようです。
さて、我々のような一般市民も株をIPO価格で購入できるでしょうか?
Can Regular Investors Buy a Piece of Facebook?によると、Facebookの役員に知り合いでもいない限り、IPO価格で株を購入することはできないようです。もちろん、IPO価格で購入できないだけで、IPO後は普通に株式市場でネット証券などを通じて購入することはできます。
FacebookがIPOすることによって、一般ユーザーにはどのような影響があるのでしょうか?
まず、広告が増えると思います。前述のように、すでにニュースフィードへの広告配信は一部で始まっており、スマホ・アプリでの広告挿入も予定されています。タイムライン、ティッカーの導入によって、友人の行動を元に消費活動を促す広告も増加すると予想されます。私が恐れているのは、Graph API利用の課金です。Facebookがここまで普及した要因のひとつに豊富なFacebookアプリケーションがあり、多くのアプリケーションが開発された背景にはGraph APIが”無料”で提供されていることがあります。
恐らく、IPOからすぐにGraph APIに課金などをすることはないかと思いますが、上場企業になると当然、収益の拡大が求められます。Facebookクレジットなどの課金サービスも拡大していますが、Facebookの現在の主な収益は広告であり、今後も広告がメインであるとは思います。しかし、Facebookに関わらずSNSは広告クリック率が低く、Googleなど検索連動型広告と比べて広告の収益性で太刀打ちするのは難しいと思われます。
私は全く思っていませんが、時折”Googleは終わった。Facebookの時代だ”という論調を見聞きします。これがなんの意味で”Googleが終わった”と言っているかわかりませんが、収益という意味ではGoogleは全く終わっていませんし、Facebookの財務データは公表されていませんがGoogleは財務指標でFacebookを大きく上回っていると思っています。また、利用者数という意味でも、YouTubeだけでFacebookとほぼ同数にも及んでおり、AndroidはiPhoneを抜いて、かってのWindowsとMacの関係になろうかとしております。つまり、Googleは検索以外の領域でも存在感をますます高め、収益の可能性を確実に拡大させています。
Facebookはこれからの企業であり、上場後8年にもなるGoogleとすぐに比較するべきでないという人もいるかも知れませんが、上場すればそんなの関係なくなり、フラットに評価されます。その時に、GoogleはFacebookの比較対象のひとつになるでしょう。
長々と書きましたが、要はFacebookがIPO後サービスの収益化に行き詰まると、最大の資産である”ソーシャルグラフの販売”を始めるのではないかと懸念しています。
これは、Facebookというプラットフォームの縮小を意味しており、ひいてはFacebookの発展を妨げることになると思いますので、なんとか、そのような事態にはならないで欲しいと望んでおります。
こうして考えると、一般ユーザーにとってFacebookのIPOはあまりいいことはないのかなと思いますが、インフラ、プラットフォーム基盤の強化などによって、パフォーマンスが改善されたり、IPO資金で他のソーシャルサービスを買収することでユーザーにとって利便性の高いサービスが導入されたりする可能性もあります。例えば、音楽配信サービスのSpotifyなどをFacebookが買収して、よりシームレスに音楽を聴いたり、共有できるようになれば楽しいですよね。また、このまま日本を中心にユーザーが増加すれば、アジアにインフラを整備し、日本からのアクセスが早くなったり安定化するかもしれません。
ということで一般ユーザーには、FacebookがIPOすることを止めることはもちろんできないので、IPOによって調達される膨大な資本でよりよいサービスが提供されることを願うのみです。
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