アメリカCBSの60minutesという番組で2010年12月に放送されたFacebook創業者マーク・ザッカーバーグさんのインタビューを簡単に日本語にしました。(正確に翻訳したわけではなくあくまで要旨です)

正確に知りたいという方は以下の動画を観てみて下さい。
Mark Zuckerberg & Facebook, Part 1
Mark Zuckerberg & Facebook, Part 2

インタビューはちょうど新しいプロフィールインターフェースを導入する前に行われており、フェイスブック設立から映画ソーシャルネットワークに関する感想、グーグルとの関係まで幅広い内容になっています。

(インタビュワー)19歳の時、いまのような状態になることを想像してましたか?

(マーク・ザッカーバーグ)ルームメイトとはじめたときは会社になるとも思ってなかった。学生だったし、クールだと思うものをつくってただけだったので。

マークザッカーバーグは普通のTシャツを着て、高価ではない机にすわっているが中国、インドにつづく規模のインターネット・サービスを構築した。3年前に取材したときのフェイスブックの会社の中はグラフィティ(落書きのようなアート)で一杯だった。今では大きなビルに引っ越してグラフィティもなくなった。”Hack”を除いて。

Facebook社内のHack

Facebook社内のHack

(インタビュワー)Hackという言葉を会社のいたるところで見かけますが、Hackという言葉はネガティブな意味ではないのですか?

(マーク・ザッカーバーグ)エンジニアにとってHackは褒め言葉です。なにかをHackするというのは、なにかを素早く創り上げるということを意味しています。一晩でなにか仕上げて見せるのです。

それが彼が500人のエンジニアに求めていることです。会社を歩いてみるとエンジニア達はずっと競争をしているように見えます。休憩時間でさえスピードチェスをしています。

(インタビュワー)ハッカソンでしたっけ?

(マーク・ザッカーバーグ)ハッカソンはフェイスブックのエンジニアが徹夜でプログラムを書き上げることです。

(インタビュワー)昔は、あなたも参加してたんですよね?

(マーク・ザッカーバーグ)はい。昔は一緒にプログラムを書いてました。

3年前に比べるとマーク・ザッカーバーグは随分とリラックスして自信に満ち溢れているように思えました。

明日、フェイスブックは新しいプロフィールページを公開します。新しいプロフィールはユーザーがどういう人なのかが一目でわかるようになっています。学歴や会社はトップに表示され、写真やなにに興味があるのかが一覧できるようになります。

(インタビュワー)写真が目立つところにありますね。

(マーク・ザッカーバーグ)フェイスブックをやっているうちに気がついたんです。みんな写真が大好きだってことに。

エンジニアはずっとプログラムをしています。食事も席で食べます。それぞれのタスクを仕上げるために残された時間が表示されています。

プログラムを完成させなければいけない時間が表示されている

プログラムを完成させなければいけない時間が表示されている

(インタビュワー)プライバシーに関する問題が常につきまとっています。ユーザーの情報をつかってお金儲けをしているという批判です。

(マーク・ザッカーバーグ)一度もユーザーの情報を売ったことはありません。

しかし、Like(いいね)ボタンは多くのウェブサイトで利用されており、ユーザーはなにが好きなのかを意識せずにフェイスブックのデータベースで管理されていることになっています。

(インタビュワー)フェイスブック自体は広告を配信していないかもしれませんがパートナーやアプリケーションはフェイスブックユーザーの情報を利用しているのではないでしょうか?

(マーク・ザッカーバーグ)利用規約に反したアプリケーションはシャットダウンしています。プライバシーに関しては大いに注視していますし、労力も投入しています。プライバシーに関してはユーザー個々が自らコントロールするべきですしインターネットの基本だと思います。

次のフェイスブックの行き先はモバイルのようです。

(インタビュワー)モバイルでアクセスしてくるユーザーはどれくらいいますか?

(クリス・カーク)最新(2010年後半)のデータで2億人くらいです。

(インタビュワー)明らかに次はモバイルの時代です。フェイスブックはアップルのようにモバイル端末を作るようになりますか?

(クリス・カーク)いいえ。われわれはソフトウェアをつくります。

新しいサービス「メッセージ」はeメールとSMSとチャットを合わせたようなサービスです。彼らはAutomated switch boardと言っています。

(インタビュワー)eメールは時代遅れですか?

(クリス・カーク)そうとは言えませんが、われわれの知るところではメッセンジャーのほうが人気になっているようです。われわれのサービスはとても魅力的なものになると思いますが、eメールが終わりを告げるとは言いません。

(インタビュワー)メッセージはグーグルのGメールと競合しますか?みんなそう言ってますが。

(クリス・カーク)いいえ。しません。

しかし、グーグルとフェイスブックは検索分野で競合するという人がいます。例えばトヨタプリウスに関してグーグルは製品情報を提供しますがフェイスブックは友人の口コミ情報を提供します。今年(2011年)フェイスブックは利用時間でグーグルを抜きインターネット上でもっともユーザーが時間をすごすウェブサイトになりました。また、多くのエンジニアがグーグルからフェイスブックに転職しました。グーグルマップの開発者やカフェテリアでさえフェイスブックに移ってきています。

(マーク・ザッカーバーグ)人は友人や家族が利用している製品とは深く結びつくことに気が付きました。

(インタビュワー)200人がグーグルから転職してきているという話もあります。これはフェイスブックの全従業員の10%にもあたります。

(マーク・ザッカーバーグ)われわれはみんながサービスを創る手助けをしたいのです。

マークはグーグルと競合していることを認めたがりません。3年前にラリーサーゲイと比較したことがあります。

(インタビュワー)あなたはグーグルの創業者であるラリーと似ていると言う人がいます。

(マーク・ザッカーバーグ)それは質問?(Is that question?)

これは映画ソーシャルネットワークでも出てきたセリフです。フェイスブックは人々をオープンにしました。今度はマーク・ザッカーバーグをオープンにする番です。

(インタビュワー)5億人が個人情報をフェイスブックで公開しています。今度は、あなたが情報を公開する番ではないでしょうか?

(マーク・ザッカーバーグ)そういった意味では会社として、まずまずの仕事をしていると思いますが。

(インタビュワー)そうではなくてマーク・ザッカーバーグ個人についてです。

マークは自身をモデルとした映画ソーシャルネットワークをマークは見るつもりはありませんでした。しかし、公開初日、心変わりをしました。

(マーク・ザッカーバーグ)みんなで観に行こうということにしたのです。とても面白い気がしたんです。

(インタビュワー)映画を観るのはつらかったのではないでしょうか?

(マーク・ザッカーバーグ)いえ、面白かったですよ。映画のどの部分が正しくて、どこが間違っているかってね。映画の中でマーク・ザッカーバーグが着ていたTシャツは全部、本当に持っているものでした。一番間違っているのは、私がフェイスブックを作った目的が女の子だという点です。だって、フェイスブックをつくるちょっと前から今の彼女とつきあいはじめていたんですから。

(インタビュワー)私はあなたについて2つの評判を聞いています。1つはあなたにとって全く愉快でないことです。もうひとつは素晴らしい起業家というものです。

(マーク・ザッカーバーグ)あなたが言ったのとは違いますが、わたしも2つのリアクションをもらってます。ひとつは映画のマークって本当のマークなのかを知りたいというリアクション。もうひとつは映画になるくらいだからすごいに違いない。マーク・ザッカーバーグって初めて聞いたけど、興味ででてきたというリアクションです。
映画の後、ものすごい量のメッセージを受け取りました。でも、”映画はとても刺激になりました”というメッセージが沢山ありました。
この映画をきっかけに企業したい、コンピューターサイエンスや数学を学びたいという若者が増えるとすれば素晴らしいと思います。

(インタビュワー)映画に熱狂しているように聞こえますね?

(マーク・ザッカーバーグ)その部分についてはね。

マーク・ザッカーバーグをうったえた双子にもインタビューしました。

ウィンクルボス兄弟

ウィンクルボス兄弟

(インタビュワー)すでに多くのソーシャルネットワークはありましたよね。特別なアイデアではなかったのでは?

(ウィンクルボス兄弟)それは我々に対する典型的な意見(批判)です。

(インタビュワー)どうやってフェースブックを知りましたか?

(ウィンクルボス兄弟)ハーバードの学生新聞で知りました。マークって我々が一緒にプロジェクトをやってるマークか?って顔を見合わせました。

二人は2008年に65億円で和解しましたが、フェイスブックの価値はもっとあるはずだと再度申し立てをしています。

(インタビュワー)どうしてそんなにお金が必要なんですか?

(ウィンクルボス兄弟)これは同義(principle)の問題です。

(インタビュワー)悪いけど、お金が欲しいとしか聞こえません。

(ウィンクルボス兄弟)理解してもらうのは難しいかもしれませんが、騙されたものの心情です。

(インタビュワー)でも相手は19歳の若者ですよ。

(ウィンクルボス兄弟)それでも裏切りです。

(インタビュワー)最後に、二人ともフェイスブックは使ってますか?

(ウィンクルボス兄弟)はい。

(インタビュワー)出ていきなさい。

(インタビュワー)二人(双子)はまだまとわりついています。

(マーク・ザッカーバーグ)二人のアイデアはフェイスブックとは全く違ってただのハーバードのデートサイトでした。
映画では訴訟のことを大きくとりあげています。でも、それはあの映画の大きな事実誤認のひとつです。訴訟はフェイスブックの歴史の中で大きな出来事ではありません。実際、私が訴訟に関わったのは2週間にも満たりません。

(インタビュワー)3年前は頼りないCEOだという人もいました。でも、いまでは立派なCEOです。難しい質問ですが、あなたはそうやってCEOのスキルを身につけたのですか?

(マーク・ザッカーバーグ)たしかに難しい質問ですね。残念ながらあなたは答えを得られないと思いますよ。一杯、失敗をしました。本当に考えうるあらゆる失敗をしました。

(インタビュワー)あなたの周りに失敗だと言わせますか?

(マーク・ザッカーバーグ)2006年に1,000億円でヤフーに会社を売れる機会がありました。ことわりましたが、多くの人が売るべきだと考えました。でも、いまではいい選択だったと思っていると思います。

いまフェイスブックが株式公開(IPO)すれば3兆5,000億円とも5兆円とも言われています。

(インタビュワー)絶対にIPOしませんか?

(マーク・ザッカーバーグ)多くの人がIPOをすることが成功だと思っています。でも、私はそうは思いません。

(インタビュワー)こんなに成功するなんて夢ではないかと思いませんか。



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