2012年はFacebookビジネス元年になるか

このままFacebookが成長を続け10年、20年後も世界のソーシャル・プラットフォームであり続ければ、2011年は日本におけるFacebook元年と記憶される年になるでしょう。

2011年は映画「ソーシャルネットワーク」の公開、Facebook日本法人設立などをきっかけに、にわかにFacebookブームが起き、日本人ユーザーが500万人を突破するまでに拡大し、多くの企業がFacebookページを開設しました。

しかし、1年がたった今も、Facebook企業担当者の多くは、ビジネスやマーケティングでの活用方法や効果測定はおろか、目的すら明確に設定できないケースが少なくないのが現状ではないでしょうか。

このままでは2012年末には“効果がわからないので社内での認知がなく業務として運用しにくい”、“ネタ切れ”などから更新が止まり、多くのFacebookページがせっかく開設したものの、開店休業状態になる可能性があります。

アメリカでもFacebookビジネス活用手法は確立していない

“日本ではFacebookはこれからだけど、外国、特にアメリカではほとんどの国民が利用しており、ビジネス活用も活発に違いない”というのが、日本人が漠然ともっているFacebookに対する印象ではないでしょうか。書店に並ぶFacebookビジネス、マーケティング本が紹介する成功事例もアメリカのケースが多いことも、この印象を強くしている原因かも知れません。

しかし、実体はアメリカにおいてもFacebookのビジネスにおける活用方法は確立しておらず、“Facebookだけで売上倍増”や“Facebookだけでどんどん集客”とい状況ではないようです。ましてやf-commerceとも言われるFacebookコマースはアメリカでも成功事例はほとんどなく、Facebook最大のショッピングページはLady Gagaとすら言われています。

実際、Gapのような流通大手がFacebookストアを閉鎖したと報道されています。(参考:GameStopやGapがFacebookストアを閉鎖した理由)

つまり、“Facebookをビジネス、マーケティングでどのように活用するのかについての明確な答えはアメリカにも(まだ)ない“というのが現状のようです。

ビジネス・マーケティング成功事例はFacebookにとっても急務

そうした状況の中Facebookは2012年春のIPOを控え、ビジネス・モデルの拡大、拡充が急務となっています。

Facebookは、もともと大学から始まったプラットフォームであり、創業者のザークザッカーバーグ氏が広告を掲載することに熱心とは言えなかったために、ビジネス界と密接に結びついていたわけではありません。

それは、Facebook誕生から8年が経つにも関わらず、開発者向けのカンファレンス(f8)しか開催せず、ビジネス向けの公式カンファレンスを実施して来なかったことからもうかがえます。

しかし、IPOを前にしてビジネス、特に広告、マーケティング界との関係を密接にしFacebookをビジネスプラットフォームとして活用してもらわなければいけないということで、初のマーケティング・カンファレンスfMCが2012年2月29日に開催されることになりました。(参考:Facebook公式マーケティング・カンファレンス「fMC」を開催

面白いのは、開発者向けのf8のキーノートスピーチ(基調講演)はマーク・ザッカーバーグが行うのに対して、fMCのキーノートはCOOのシェリル・サンドバーグが行うところです。マーク・ザッカーバーグとしては、あくまでFacebookは世界を変えるためのプラットフォームであり、ビジネス活用はひとつの活用方法にすぎないということでしょうか。

もちろん、シェイル・サンドバーグは非常に優秀ですので、マーク・ザッカーバーグにしてみれば“マーケティング(ビジネス)についてはシェリルのほうがうまくできる”ということなのでしょう。

さて、前置きが非常に長くなりましたが、そのFacebook COOシェリル・サンドバーグがフェニックスで行われたANAカンファレンスでの基調講演で、Facebookのビジネス活用方法について興味深い提案をしていますので、fMC開催の前に、その内容を振り返りながら、Facebookビジネス、マーケティングにおける活用の可能性について考えてみたいと思います。

Social by Desing -Facebookだけでマーケティングを行うべきではない

2011年のサンドバーグさんのキーメッセージは “Social by design(計画されたソーシャル活用)”でした。これは、アメリカでは2011年のマーケティング業界で流行りのキャッチフレーズだったそうですので、マーケティングの関係者の方は、聞いたことがあるかも知れません。

Social by designとは、やみくもにソーシャル(Faceboook)ありきで考えるのではなく、商品・サービスの特性を理解し、ターゲットを決め、どのようにコミュニケーションをとるべきかを分析するといった統合的なマーケティング戦略を練る際に、ソーシャル(Facebook)を得意領域で活用することで、マーケティング効果を大きくしましょうということです。

ANAにおけるサンドバーグさんの講演は一般的なテーマを対象としたものであったために、”Social by design(計画されたソーシャル)”という言い方になっていましたが、彼女が言いたいことは”Facebook by design(計画されたFacebook活用)”ということでしょう。

“ソーシャル(Facebook)だけでマーケティングを行うべきではありません。でも、全てのマーケティングでソーシャル(Facebook)を利用すべきです。”という言葉は、Facebookが万能ではないことを認めつつ、Facebookが現代社会において、非常に重要なコミュニケーション・プラットフォームであることを示唆しています。

つまり、Faebookマーケティングということで計画を進めてしまうと、”Facebookでなにをしよう”という視点になってしまいます。そうなると、”アプリをつくろう”、”同業他社はFacebookでなにをしているか調べて、同じ事をしよう。もしくは違うことをしよう“という発想になってしまいます。

なので、“今はFacebookでしょ”とか“ソーシャル入れたほうが提案通りやすい”とか“広告予算を削減されそうなので、お得感をだすためにソーシャル足しとく”とかは止めましょうということです。

そうではなくて、売りたい商品・サービスのことを徹底的に理解し、売りたいターゲットではなく、商品・サービスを求めている人、商品・サービスがなくて困っている人の分析を行い、訴求ポイント(メッセージ)を練り、どの方法でメッセージを伝えるかを考えたときに、伝達方法のひとつとしてソーシャルを活用するべきだと言うことです。

特に商品・サービスのことを徹底的に理解するのは大事かなと思います。(たいてい)知れば知るほど、商品のことを好きになりますし、人に言いたくなります。人に言いたくてウズウズするまで、商品・サービスについて調べましょう。村上春樹の“羊をめぐる冒険”のセリフではありませんが、“マーガリンは好きじゃないんだ”という人には、いいマーガリンの広告は書けないのではないでしょうか。

さて、ソーシャルメディアの特性とは、個人が発信者となり、情報がマスではなく、まさにインターネット・ネットワークのように、個々人のソーシャル・グラフを通じて、クモの巣状に、瞬時に伝わっていくところにあります。

人は、“広告“をタイムライン、ニュースフィードで共有して、友達をがっかりさせたくありません。

ついては、おそらく従来の広告で利用されていたメッセージでは伝達しないでしょう。伝達したくなるメッセージには、なんらかの社会性が求められる気がします。

“伝えることによって世の中に貢献できる”気持ちになってもらう必要があるのではないでしょうか。

また、最近、話題になっているステマの例を挙げるまでもなく、“ウソはバレます”。ソーシャルうんぬんではなく、これからの商品・サービスは社会的課題を解決するような要素が求められると思います。そのメッセージを伝える媒体が、マスメディアに加えて、共感してくれる人々によるソーシャル・ネットワークであると判断できるときに、ソーシャル(Facebook)を活用するというのが、ひとつの判断基準になると思います。

Facebook B2B成功事例:アメリカン・エクスプレスの「Small Business Staturday」

そうした意味でもシェリルがFacebookマーケティングの成功事例としてあげたアメリカン・エクスプレスの「Small Business Staturday」は、”景気回復、雇用、地域活性化”という現在のアメリカ社会の最大の課題を解決するというキャンペーンのテーマが、人々に受け入れられたことが成功の要因でした。

Small Business Staturdayキャンペーンとは、ひとことで言えば地元の商店で買い物をしましょうというものです。

small business saturday

それは、キャンペーン・メッセージを読めば明らかです。

小規模ビジネス(小売店)こそが地域の活力です。
Small businesses are the heartbeat of our community.

雇用を生み出し、
They provide jobs,

地域らしさを保ってくれます。
Preserve neighborhoods,

そして地域の経済にエネルギーを与えます。
And fuel the local economy.

あなたにできる貢献は地元で買い物をすることです。
The shop small movement is a way for you to support these places.

地域の商店に元気になってもらいましょう。
Help them stay strong.

もし数百万の人々が買い物をすれば、
If millions of people shop small,

大きな経済活動となります。
It will be huge.

アメリカン・エクスプレスは、Small Business SaturdayのFacebookページ上で、小規模商店が地元の人々にプロモーションを行うためのFacebookアプリを提供しており、商店によっては1万人を超えるクチコミを発生させています。

1万人というと大手チェーンから見れば大した人数に見えないかも知れませんが、地元にしかない小さな商店にとって1万人というのは考えられない規模だと思います。

B2B成功事例

実はこのキャンペーンはFacebookだけではなく、Google、Twitterも協力しており、Facebookのオファリング・アプリやビジネスページ作成アプリのほかに、YouTubeで商店のプロモーションビデオを作成したり、Twitterボタンを作成できたりします。

Facebookビジネスアプリ

このキャンペーンはまさに”Social by Design”でFacebookを中心に据えてはいましたが、新聞広告などの地域メディアも利用することで、参加商店の売上を28%向上させたそうです。ちなみに、小売業全体の売上上昇率は9%だったそうですから、このプログラムが成功だったことが分かります。

また、アメリカン・エクスプレスから見れば、小規模小売店に対するキャンペーンだったためFacebookのB2B事例だったことも興味深い点です。

インターネットでも、あたなが犬だとわかるようになりました

次は、Facebookに代表される実名によるオープン・コミュニケーションという特性について考えてみます。

シェリルは講演の最初にウェブの歴史を簡単に振り返った際に“インターネットでは、誰もあなたが犬だと知らない”という有名なニューヨーカーの風刺漫画を使いました。彼女の言いたかったことは、Facebookが登場するまでは、企業は“誰だかわかない”ユーザーに商品・サービスを説明しなければいけなかったけれど、今ではFacebookのおかげでユーザー属性はもちろん実際の名前までわかったうえでアプローチできるようになったということでしょう。

ザッカーバーグの法則によって毎年、Facebook上で共有されている情報量は倍々になっていますが、Facebookページのいいね(ファン)の数も過去数年間、倍々になっており、今では毎日1億人が、なんらかのページのファンになっています。

さらに“Facebookは、あなたがた企業がオンラインで行うあらゆることをサポートしたいと思っています。もっとオンラインで色んなことをするべきだと思っています。マス広告は一方通行ですがFacebook広告は本当のアイデンティティ、人間関係、パーソナライゼーションを実現しているため、マーケティング・プロミスを実現できるのです”と言っています。

もうひとつ分かりにくいですが、要点はFacebook広告を利用すれば、細かいユーザー属性を絞り込んだうえで、メッセージを伝えることができ、ユーザーからの質問などにも答えることができるため、そこでユーザーの満足を得ることができるということだと思います。

成功事例として、ニールセンのデータを引用してシェリルが紹介したのは、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの例でした。ターゲットが狭い場合でも広い場合でも、いわゆるFriends of Friends(友達の友達)効果でFacebookはリーチという意味で他のオンラインメディアを圧倒したそうです。

また、シェリルは、多くのマーケティング担当者が初期のソーシャルメディア活動で見落としている数字、つまり売上への貢献についての数字を、Facebookを中心に据えたプログラムが売上向上をもたらした事例をもって紹介しました。

香港のおむつや赤ちゃん用品を扱っている企業Huggiesは、ファンに赤ちゃんの写真をFacebookページにアップロードしてもらい、そのモンタージュ写真をバスや地下鉄での広告に利用するというキャンペーンを実施し、その結果、マーケットシェアは4.2%増加。この数字はHuggies香港の四半期で最高なものだったそうです。

シェリルは言いました。“私たちは、他のメディアでしていることを止めなさいと言っているわけではありません。が、ソーシャルをマーケティングの基本要素として考えるべきだと思っています”

さて、あなたなら、Facebookをどう活用しますか?是非、成功事例をつくりあげ、共有してください。



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